「WリーグSUPERGAMES」鎮西学院女子参戦レポート Day1

―「全国で戦えるチームに」

  •  WリーグSUPERGAMES第1日は「WリーグU25」対「U22日本代表」、「U19日本代表」対「WリーグO26」の2試合を実施。それぞれ勝ちチームが翌日の決勝へ進み、負けチームが翌日の3位決定戦に回る。鎮西学院高(長崎)のエキシビションゲームは、その“前座”として行われた。

 今季の鎮西学院高は2年生7人、1年生17人(うちマネージャー2人)の計24人で活動中。「県で優勝して、全国で戦えるチームになる」を目標に定める。チームの平均身長は159cmと小柄なだけに、ハードなディフェンスから速攻を狙うスタイルを目指している。今回は、主力を中心に2年生3人、1年生7人の計10人が参加した。

*記事中の所属・学年は全て2023年2月当時のもの

 指揮を執る内野夏実監督は2014年に就任した。県大会で初戦敗退が続いていたチームの強化を任され、2018年、2019年の県高総体で4強入り。2021年に県王者へ導いた。2022年は国体少年女子県代表チームの監督を務めるなど、県内で勢いのある30代の若手指導者の1人だ。

 この日のエキシビションゲームの相手は藤村女高(東京)。約300ものチームが参加する激戦区の東京都で、2022年度はベスト8をキープしており、今季は「ベスト4進出」を掲げている。

―収穫も反省も次戦への糧に

 舞台はこの後、日本代表選手らがプレーする東京・代々木第二体育館。鎮西学院高のメンバーの中には、全国大会や東京の大規模な体育館で試合をするのが初めての選手もいた。やや緊張した雰囲気でゲームが始まると、藤村女高に内外角から立て続けに得点を許した。鎮西学院高は試合開始から4分30秒過ぎに初得点。主将の#4 三宅美桜選手が身長163cmながらインサンドで健闘し、オフェンスリバウンドからシュートを決めた。これを皮切りにチームのエンジンがかかり、攻守の切り替えがスピードアップ。#7 後田望結選手のドライブイン、#13 内田真夏選手の速攻などが決まったが、シュート精度が上がらずに第1クオーターを11-28で終えた。

「ゲームの入りで流れをつかめず、逆に相手を乗せてしまいました」(三宅選手)
 巻き返しを狙って臨んだ第2クオーターは、鎮西学院高が主導権を握った。#8 田﨑陽菜乃選手がドライブインを決めると、#9 松尾すず選手もチーム最初の3点シュートを沈めた。全体的に積極性が出てきて、5分に30-31まで猛追。オールコートディフェンスでさらに勢いに乗ろうとしたが、相手も3点シュートを確実に決めてリードを許さず、鎮西学院高は36-45で前半を折り返した。

「ディフェンスからいい流れがつくれた時間帯もあったのですが、決めないといけない場面で決めきれず、いい時間を長く続けられませんでした」(内野監督)
 第3クオーターは再び藤村女高がペースをつかみ、鎮西学院高は44-66と引き離された。最後まで諦めずにディフェンスでプレッシャーを掛け、#4 三宅選手のリバウンドからのシュート、# 11平野碧梨選手の3点シュートなどで食らい付いたが、74-82で惜敗した。

  •  この試合で29得点と気を吐いた主将に次ぐ、15点をマークした#7 後田選手は「相手の方が声が出ていて、いい雰囲気で試合をしていました。私たちも仲間を盛り上げないと」と反省点を挙げ、「ここに来させていただいた周りの方々に感謝して、次は自分たちのプレーが発揮できるように頑張りたいです」と翌日のエキシビションゲームへ気持ちを切り替えていた。

―江村“先輩”から刺激もらう

  •  エキシビションゲームを終えて、鎮西学院高のメンバーと内野監督ら長崎の中高生チームの指導者4人は、観客席から本戦の2試合を見学した。まずは、WリーグU25とU22日本代表が対戦。今回のU22日本代表チームは、7月に中国で行われるFISUワールドユニバーシティゲームズの候補メンバーで編成されている。ここには、長崎県の佐世保市立広田中出身で桜花学園高の高校3冠達成メンバー、早稲田大2年生の江村優有選手(松園尚己記念財団奨学生)が召集されていた。
  •  江村選手はポイントガードで先発すると、身長162cmの体をめいっぱい使ってコートを駆け、攻守でチームに貢献。持ち味の巧みな1対1から積極的にゴールへチャレンジし続けるなど、9得点を挙げた。結果は、既にA代表入りしている山本麻衣選手(トヨタ自動車)らがけん引するWリーグU25が71-63で決勝に進んだが、地元出身の“先輩”となる江村選手のプレーに、鎮西学院高のメンバーは大きな刺激を受けた様子だった。

 2年生ガードの平野碧梨選手は「江村さんは憧れの選手で、YouTubeでもプレーを見ていました。生で見ると迫力が違うし、背の高いプロ選手が相手でも、ぶれずにアタックしていくところに勇気をもらいました。自分も見習いたいです」と笑顔を見せた。

 続くU19日本代表対WリーグO26は、WリーグO26が貫禄勝ちしたものの、スコアは64-53とU19日本代表も健闘。スターぞろいの先輩たちに臆さず立ち向かい、後半には一時勝ち越す場面もあった。

photo by mhmf.or.jp

 この白熱した試合のハーフタイムに、鎮西学院高のメンバーは“ファンサービス”も体験した。コートから客席に向かって、大会記念のグッズと交換できるボールを投げ込むというイベントだ。最初に、チームを代表して三宅主将がエキシビションゲームを振り返り、「きょうの反省を生かし、あしたの試合は序盤からアグレッシブにディフェンスをして頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」とあいさつ。続いて、選手たちが手のひらサイズのボールを、客席に思い切り投げ入れた。会場からの温かい拍手に、手を振って応えながら退場。これも、なかなか味わえない貴重な体験の一つとなった。

いよいよ研修も残り1日。総まとめとなる最終日の様子は『Day2』でレポートする。

photo by HIDEO ICHIYANAGI

Other info

ページの先頭へ戻る