池田成諒君が国体100mで2度目の優勝

 ジュニアアスリート強化事業の支援選手である池田成諒君(島原高3年)が、「いきいき茨城ゆめ国体(第74回国民体育大会)」において少年男子A100メートルの決勝レースに出場。10秒73の記録で見事優勝し、高校生活最後の全国大会で有終の美を飾っています。

 予選を10秒85、続く準決勝を2位タイとなる10秒69とトップと0.03秒差のタイムで通過するも、0.08秒差に6選手がひしめき合う決勝レースはコンマ01秒を争う大激戦が予想されていました。「今大会は予選から、スタートから中盤にかけてのところをまずまずにまとめられていたので、決勝では練習でやってきたことをそのまま発揮すれば遅れることはないだろうと。60m地点でリードできる展開に持っていければ」というレースプランを練りながら、決勝の舞台には第4レーンで登場。

 やり直しとなったスタートで、2度目の号砲が鳴り響くや勢い良く飛び出して、課題の1つに挙げていたスタートをクリア。リアクションタイム0.145秒は決勝に出場した8選手中トップです。立ち上がりの加速で僅かに遅れを取りながら2番手の位置で躰をトップスピードに乗せると、徐々に首位の選手を追い上げていく……。
「準決勝でも少し余裕を持って自分の走りをコントロールできていたので、決勝でもしっかりと身体が浮かないように顔を若干下げて、抑え込んで走りました」
 ゴールラインを切った時の着差は僅か半身、タイムにすれば0.05秒差。勝利を確かなものにすると、右手を何度も天に突き上げながら減速しスタンドへ向けてガッツポーズを取ります。高校最後の大会で「日本一」を奪還した瞬間でした。
「苦い経験を生かして掴んだ勝利」
 遡って2018年10月にアルゼンチンにて開催されたブエノスアイレス ユースオリンピックの100メートル決勝の舞台において、10秒30(追い風参考記録)の好タイムで銅メダルを獲得した池田君は、ユース世代の世界3位としてその存在を知らしめ、一躍注目を浴びることになりました。

 そして年が明けた2019年1月、世界で戦うレベルを求めて米フロリダ州に在するIMGアカデミーのキャンプへと単身乗り込みます。短い期間ではありましたが、世界のトップを目指すアスリートが集う施設でトレーニングを行い、滞在3週間で帰国。早くもその2月後に、海を渡って学び一回り大きくなった姿で、その成果を見せてくれました。
 香港で開催されたアジアユース陸上では100m決勝のレースを10秒63で走り、見事銀メダルに輝いたのです。
  • 長崎県高総体 男子200m決勝 © 2019 長崎新聞社
 自身最後の高校競技生活となる2019年は、長崎県の県高校記録の更新(10秒42)と、インターハイ優勝を目標に臨んだシーズンでした。5月には自己ベストタイムを更新(10秒45)して順調な仕上がりをアピールしましたが、しかしその夏、インターハイを目前にスランプへと陥ってしまいます。
 復調しないままユース世界大会のメダルの重みを感じながら臨んだ生涯最後のインターハイは、100メートルと200メートルの二冠を目標に掲げるも両競技共に予選敗退を喫し、敢え無く終わりを迎えました。
「先(世界)の舞台を目指して走りを変えて行こうという段階で、それが噛み合うのに時間がかかってしまったので、インターハイは悔しい結果になってしまいました。インターハイが終わって練習を継続して行う中で、自分のものにできつつあります」
 その苦い経験を生かして掴んだ国体での勝利。池田君は今回の勝利を喜びつつも満足することなく、次の目標に切り替えています。
「来年の世界ジュニアでしっかりと活躍するために、この秋の時点でここまで練習でやってきたことをまとめておく必要があるのかなと思いながら走りました。今回は自分の走りをコントロールできたことが一番良かった」

 島原高校には短距離専門の指導者が不在なために、これまでも自分で考えながらトレーニングを積んできましたが、この春からは当財団の元奨学生でもあり、アトランタとシドニーのオリンピックに2度出場経験を持つ田端健児氏から定期的に指導を受けてきました。田端氏と同じ舞台に立つことを目指して、世界を知る一流の指導者のアドバイスを受け、池田君の走りはどんどんと良くなっています。
「重心の使い方など田端さんから学んだことをしっかりと生かして、スタートから先に上げていくところで発揮できました。夏は結果を出せませんでしたが、ここまでやってきたことは間違っていないという自信はあったので、継続してやっていけばいつかは結果が出ると信じていました」

田端健児氏からメッセージ
アトランタ五輪 1600mリレー / シドニー五輪 個人400m・1600mリレー代表

成諒、国体優勝おめでとう!
インターハイでの悔しい経験を乗り越えて勝ちきったことは本当に凄いし鳥肌が立つ程感動しました!
インターハイが終わり地道に取り組んだ坂道ダッシュで地面を叩く接地から地面を押す接地に変えたり、腕振りの意識を前方にすることで重心を進ませたり、試行錯誤しながら短期間で習得できたのは成諒の努力の賜物だと思います。
5月に初めて会って走りについて話したとき、自分の走る感覚を言葉で説明できることに驚きました。
その感覚に更に磨きをかけ、最終的な目標をクリアしてください。
これからも一ファンとしてずっと応援しています!

「そして道は世界へ続く」
 「高校日本一」の称号奪回は嬉しいものの「春先に10秒45で走ったときよりも状態は良かったので、10秒3台を目指して走りましたが、身体をコントロールできた部分くらいしか評価できず、後半にもっとスピードを上げられたんじゃないかなと思っています」と、タイム的には納得行く結果は得られませんでしたが、実は決勝レース中に靴紐が解けてしまうというアクシデントがあったにも関わらず駆け抜けたゴール、勝利という最高の手土産を持って次のステージに挑みます。
「今回の優勝も何らかの形で目標であるオリンピックや世界選手権に繋がっていくような結果になるといいなと思っています」と笑顔で語る池田君は、「日本一」に満足することなく、「世界で金メダルを取るため」に今後も走り続けていきます。

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