池田成諒君 米IMGキャンプインタビュー

 国体優勝という有終の美で高校3年間の陸上生活を締めくくった池田成諒君が、この2019シーズン突入を控えていた今年1月、アメリカ・フロリダ州ブレイデントンIMGアカデミーの陸上キャンプでトレーニングに励む姿がありました。世界中から集まった頂への挑戦を夢見る同世代の若者達と3週に亘って寝食を共にした短期留学です。
 目前に迫っていた香港でのアジアユース2019(3月)と、高校部活動の集大成となる最終学年でのチャレンジを前に、初めての海外留学キャンプの感想を伺っています。
※本記事は2019年1月に行われたインタビューを元に書き起こしたものです
── IMGに行きたいと思ったのは?
2017年の国体で優勝した(少年B、100メートル走)後にIMGの存在を知りました。学校に他の留学の案内しているポスターが貼ってあって、陸上にもあるのではと気になってインターネットで調べたら出て来たんです。内容を見ていたら、非常に興味が出てきました。
── どのような部分に「興味」を?
まず一番に魅力を感じたのは、世界中から高い志を持った子どもたちが集まってくるところです。次いで一流のコーチから指導を受けられる環境に強い憧れも持ち、ぜひ行って指導を受けたいと思いました。
── 留学を決めてから渡米するまでに、どのような準備をしましたか?
行きたいと思い立って、現実にするには2018シーズンで結果を出すことは必須だと思ったので、ユース・オリンピックで表彰台に立つことを一番のターゲットに設定し、その代表選考にかかるために春先から高いパフォーマンスを発揮できるよう取り組んでいました。そんな中、インターハイで高校2冠(100m・200m)を目指していたのですが6月のブロック予選で足を故障してしまい、そこからはなかなか練習が上手く進まず、望むような結果を残せない時期が続きました。
7月のユース・オリンピック・アジア地区予選(タイ・バンコク)のメンバーに選んでいただき、本大会の出場枠を得ることができたのですが、そこでケガを悪化させてしまいました。8月頭のインターハイでは100メートルは準決勝敗退、200メートルは予選で敗退して悔しい思いをしました。ユース・オリンピックのメンバーに選ばれたことで、気持ち的に慢心してしまっていた部分もあったのですが、インターハイで悔しさを味わったことで、もう一度基礎の部分から地道に積み重ねていくことを徹底しました。ユース・オリンピックが近付くに連れて、心身ともに状態は上がっていき、目標だった表彰台に上ることができました。
アメリカで指導を受ける際の理解力を高めるために英会話スクールに通いました。また、高校の担任の先生の担当教科も英語なので、学校の授業の中でもアメリカの紙幣やコインの使い方や、お店にいったときの対応の仕方など生活に役立つことを教えて頂きました。担任の先生のサポートはとても大きく、心強かったです。学校側や他の先生方と連携して、高校を休んで短期留学に行ける準備を整えてくださいました。アメリカに居ながらスカイプで島原高校の授業に参加できるシステムを教頭先生が作ってくれたりもして、先生方にはとても感謝しています。
── 不安に感じていた点は?
アメリカに行って強くなろうとポジティブなことばかり考えていて、ネガティブなことは思っていませんでした。
── IMGでの生活はどのように過ごしましたか?
朝9時から11時まで午前中の練習があり、そこでは走るフォームを作ったり、他の選手たちと一緒にキツめの追い込んだトレーニングをしました。ランチを挟んで休憩した後、今度は2時から4時まで午後の練習があり、アカデミー生と一緒にスタートの練習をしたり、ショートスプリントをすることでトップスピードを向上させたり、午前中に行ったフォーム作りを身体に馴染ませるトレーニングなどをしました。また、火曜日と金曜日はウェイトトレーニングを1時間して、身体を強くしています。水曜日はメンタル・コンディショニングのセッションを受け、練習で行ったことを自分の中でどう評価するべきなのかを教わりました。この授業は英語が難しく、理解するのがとても難しかったのですが、授業が終わってから先生に聞きにいき、丁寧に説明してもらったことで内容が理解できました。
木曜日はヨガにもチャレンジしましたが、身体が硬いこともあり、思っていたよりもかなりきつかったです。
トレーニングの濃度が高いので、夜ご飯を食べた後には9時くらいに寝てしまいます(笑)。朝は6時半に起きて、朝ごはんを食べて、8時くらいからトレーナーに身体を見てもらったり、筋膜リリースをしたり、ホットパッドを使って疲労が溜まっている部分を温めたりして、練習への準備をします。ここに来て、これまで以上に身体のケアの大切さを考えさせられて、準備に時間をかけるようになりました。
── 最も大きな変化は?
2つあるのですが、1つ目は自分が元々持っていた感覚を理論的に指導して頂いたことです。今まで自分の感覚を言葉で表すことができなくって、「こんな感じ」というようなアバウトな表現しかできなかったのですが、(自分が走っているところを撮影した)動画を観ながら横で解説していただいたりして、自分の走りに対する理解がとても深まりました。
もう1つ大きく変わったのは、スターティング・ブロックの使い方で、足の置き方を今までとは逆にしました。初日の練習のときに、椅子に座った状態から、コーチの掛け声とともに両腕を胸の前でクロスするように言われました。そのときに僕は左腕が下に来たのを観たコーチから、右手に比べて左手の反応の方が早いので、スタート時に右足を前にするように薦められました。今までは左足を前にしてスタートしていたのですが、右足よりも左足の方が反応が早いので、スタート直後に大切となる一歩目を左足に変えてみたところ、とても自然でやりやすかったので、僕自身も非常に驚きました。今まで自分が理想とする形を目指して試行錯誤してきましたが、それがスタートの足を変えるだけで出来てしまったので、本当に驚いたのです。スタートの足を入れ替えるだけでなく、なぜ入れ替えるのかを理論的に説明してもらったので、自分でも納得して変えることができました。ただ走るだけではなく、考えながら練習することが多くなりました。大きな変化を求めてIMGに来ましたが、初日の経験だけでも、それを実感できました。 ── 短期留学で陸上以外の面での収穫は?
自分から行動を起こさないと、何も得られないことに気付かされました。自分がどうしたいのかを言わないと、相手も答えてくれないので、もっと自分から積極的にコミュニケーションを取っていきたいです。
今回これだけ素晴らしい経験をさせていただいて、こういった環境の送り出してくれた家族を始め、いろいろと整えてくださった周りの方々に感謝しています。結果を残すことで恩返しをしたいと思いましたし、言葉として感謝の気持をしっかりと伝えていきたいと改めて思わされました。
── 現在の目標は?
オリンピックに出てメダルを取ることが幼いころからの変わらない目標ですが、目下はインターハイ優勝と100m長崎県記録(10秒31)の更新を目指しています。10秒4以下で走れれば日本選手権A標準を突破できますし、強いインパクトを残せると思います。
 池田君はこの秋に開催された「いきいき茨城ゆめ国体 2019」の少年男子A100メートルで優勝し、高校最後のシーズンで自身2度目となる全国大会制覇を果たしました。その様子は別記事にてレポートしています。

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