
高2当時の廣中さんを見た駅伝・マラソン解説者の金哲彦氏は「東京2020、その後の女子長距離界の救世主、あるいは大スターとなる期待は大きい」と絶賛され、『和製ラドクリフ』の異名まで与えています。
この4月からは日本郵政グループ女子陸上部に所属となり、拠点を東京に移し実業団選手として走り始めました。
そのデビュー戦は4月14日の金栗記念選抜陸上中長距離大会で、1500mを力走し総合5位で無事に初陣を終えました。
むしろ鮮烈な印象を残したのはその次戦となる、4月27日に広島広域公園陸上競技場で開催された第53回織田幹雄記念国際陸上競技大会でした。5000メートルにエントリーした廣中さんは、レース序盤から先頭集団に入り、ラスト1000メートルでは4人だけに絞られたトップグループに喰らいついていきます。
残り1周を告げる鐘を4位で聞くと、ラストスパートでペースを上げるケニア勢を凌ぐスピードで上位を占めていた外国人選手を抜き去り、資生堂の木村友香選手に次ぐ2位でゴール!実業団デビュー2戦目で素晴らしい走りを披露しています。
続く5月4日には九州への凱旋となる『ゴールデンゲームスinのべおか』の女子5000メートルにエントリーします。
「レース展開は流れに任せるようにして、あまり考えずに臨みました」
スタートラインに立ち高校時代のトレードマークであった紫から刷新した白いキャップを被り直して気合を入れると、顔を数回叩きレースモードのスイッチをオンに。
延岡ならではのトラック至近を囲む観客からは「あれは廣中さんだっ!」との声があがり、周回を重ねるたびに声援は熱くなっていきます。バックストレートでは、喉を枯らして「がんばれ」と叫ぶ小さなの女の子達の姿も。廣中さんは正にこの声に応えるように、多くファンの心を揺さぶる走りを見せてくれました。
先の織田記念と同様に序盤から良い位置に付けることに成功して、中盤を過ぎた頃にはトップでレースを引っ張り「もしかしたら」と期待するレースは終盤に突入していきます。
「ラスト2周くらいからきつかったので、必死に走りました」
最後の1周で先頭に付いていくことはできませんでしたが、2週連続で挑んだシニア2戦目は死力を尽くし、立派に5位でゴールへ達する結果となりました。

広島(織田記念)でのタイムが15分23秒58、延岡(ゴールデンゲームス)では15分26秒82の廣中さんにとって、まずは今秋にドーハで開催される世界選手権の参加標準記録である15分22秒00の突破が当面の目標となりそうです。
「まだ伸びしろはたくさんあると思うので、そこをこれから強化していきたいです」と力強く語ってくれた廣中さんが見据えるのはもっと高いステージ。さらに先へと力強くトラックをロードを蹴り進み、歓声に包まれる未来は無限大に広がっていきます!
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