2023年8月5~6日に開催されたTREASURE NAGASAKI 3x3GAMES 5thはトーナメント以外にも、シュートコンテスト(U12、U15、U18)やWリーグ・トヨタ自動車アンテロープスを招いたエキシビションマッチ、さらに、長崎県出身のBリーガーで大会特別ゲストの田中大貴選手(サンロッカーズ渋谷)のトークショーなど、盛りだくさんのイベントで会場を沸かせました。
重ねてきた練習を自信に挑戦
シューティングマシンによる予選ラウンドを勝ち抜いたファイナリストたち(U15:男女各15名、U12・18:男女各5名)が、決勝ラウンドに進み各カテゴリーNo.1シューターを競い合います。
決勝では5本のシュートを放ちますが、フリースロー:1点かアーク外:2点かは自由選択制となっており、観衆の見守る中でプレッシャーと戦いながらより高得点を狙うゲーム性ならではの熱いドラマが展開されました。
各カテゴリーを制した6人には大会オリジナルシューズケースが贈られています。
UNDER15
第1日に行われたU15の決勝には特別ゲストとして、東京五輪男子日本代表キャプテンの田中選手と、トヨタ自動車のエースガードで女子日本代表の山本麻衣選手が登場。男女の各優勝選手がそれぞれ、田中選手、山本選手とシュート5本勝負ができる「スペシャルマッチ」に挑戦しました。
U15の優勝者となり、日本を代表するシューターへの挑戦権を獲得したのは、男子の神矢尚澄選手(Crazy River)と女子の中田沙希選手(ハイドランジアA)。スペシャルマッチは、田中選手と山本選手がともに貫禄のシュートスキルを披露して勝利しましたが、神矢選手と中田選手も伸び伸びと自分の力を出し切りました。
シュートコンテスト後、神矢選手は「高校でも通用するようにシュート練習していた成果が出てうれしい」、中田選手も「外角シュートは自分の武器で自信はありました。これからもシュートを決めてチームに貢献したいです」とコメント。スペシャルマッチを振り返り、神矢選手は「(田中選手は)とてもシュートがうまくて、あんな選手を目指したいと思いました」、中田選手も「(山本選手は)シュートの軌道がすごくきれいでした。対戦できて楽しかったです」と目を輝かせていました。
- U15 WINNER
中田沙希ハイドランジアA神矢尚澄Crazy River
UNDER12&18
最終日はU12とU18で大会ナンバーワンシューターが決定。U12の男子で優勝した湯川朔太郎選手(魚群)は「決勝で8点も決められて、とてもうれしかったです。フリースローの練習をたくさんしてきて良かったです」、女子を制した上村明日香選手(North sun)も「シュートが得意で、毎日100ゴールの課題をクリアしてきた成果が出ました。今後の試合でもシュートを決めたいです」と喜びいっぱいの表情でした。
- U12 WINNER
上村明日香North sun
- U12 WINNER
湯川朔太郎魚群
U18は特別ルールを設定。ラストの5本目だけ、2点シュートラインの右45度からさらに後方に下がったポジションからシュートを決めれば、3点のボーナスポイントが追加されます。男子の森山望空選手(THE THIRD)は、このボーナスポイントを獲得して優勝。「いつも通りの力が出せました。シュートのいい感覚がつかめたと思います」と手応えを口にしました。女子の高増ひなた選手(Vamos)は着実に得点を積み上げて頂点に立ち「チームで負けてしまった分、個人で優勝できて良かったです。次は(10月の)ウインターカップ県予選でリベンジしたいです」と意気込んでいました。
- U18 WINNER
高増ひなたVamos
- U18 WINNER
森山望空THE THIRD
国内女子トップの技を間近に
―トヨタ自動車アンテロープス vs ストレッチ
トヨタ自動車を招いた3x3エキシビションマッチは、第1日の注目イベントとなりました。挑戦したのは長崎県社会人女子ナンバー1チームのストレッチ。Wリーグトップレベルのチームの胸を借り、果敢に得点を狙いました。 トヨタ自動車は、2021年東京五輪3x3女子日本代表の山本選手をはじめ、身長190㎝でチームの得点源でもある梅沢カディシャ樹奈選手、3x3の日本代表歴がある宮下希保選手、海外リーグでもプレーした安間志織選手という豪華メンバーで編成。試合が始まると徐々に攻撃のテンポを上げ、山本選手の正確な2点シュートや梅沢選手の高さを生かしたゴール下など、次々とシュートを決めてリードを広げました。
ストレッチも、長崎の女子バスケット界を引っ張る意地を見せて懸命に粘りましたが、トヨタ自動車が試合時間約1分を残してノックアウト勝利(21点先取)。ストレッチのメンバーはもちろん、コートのそばで観戦した観客たちも、国内トップのスキルを間近で感じられたいい機会になりました。
試合後、山本選手がたくさんの観客へ向けて「コロナ禍も明けて、長崎の皆さんと交流でき、また、たくさんの応援をいただきうれしく思います。今年も優勝目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします」とあいさつ。また、試合に先立ち、2023年に日本人女性初となる国際バスケットボール連盟の殿堂入りを果たしたトヨタ自動車の大神雄子ヘッドコーチを祝福するセレモニーも行われました。
田中大貴選手ー長崎への思いと練習の大切さ
最終日に急きょセッティングされたのが、田中選手のトークショー。長崎西高、東海大を卒業後、9年間プレーしたB1アルバルク東京(旧・日本リーグトヨタ自動車)から、2023-2024年シーズンにサンロッカーズ渋谷へ移籍したタイミングでの機会に、会場の注目が集まりました。
高校時代の恩師である後藤慶太さん(長崎西高バスケ部元監督)も会場に駆けつけてくれました。
- 大学時代からこれまで、各チームで背番号『24』をつけてきた田中選手。これは出身校の長崎西高の『にし』からきていて「自分にとって大きなターニングポイントだった高校時代の気持ちを持ち続けたままプレーしたい」という思いが込められていました。その背番号が、2023-2024年シーズンは『13』に変わりました。今回はどのような意味があるのでしょうか。
「移籍先の事情もあって、24番をつけられないとなったときに、高校時代に(チームで)下級生のエースナンバーだった13番もつけていたんで、もう1回、初心を思い出すという意味で選びました」と、長崎で過ごした高校3年間への思いを語りました。 安定したシュートフォームで子供たちの期待に応える
シュートコンテストのスペシャルマッチでU15カテゴリの優勝者と対戦する前には「緊張する」としきりに胸をさすったあと、入念にシューティングマシンで集中を高め、ジュニア選手が相手でも一人のバスケットボールプレーヤーとして敬意をもって向き合おうとする、真摯な人間性がうかがい知れました。
続いて、会場の大会参加者からの質問タイムへ。「高いレベルの環境で大事にしていたことは何ですか」という質問には「自分がどれだけ真摯に目標に向かって頑張るか。毎日毎日、今できることをやって大事に過ごすしか、成長できる道はないと思っています」。
「好きなNBAプレーヤー」を尋ねられると、2021年東京五輪で対戦したスロベニア代表のルカ・ドンチッチ選手のすごさに触れて「NBAのアメリカの選手って生まれ持った才能でプレーしているように見えて、日本人よりもはるかに練習しているんですよ。自分もまだまだ活躍したいので、これからたくさん練習して頑張るんで、同じ舞台で試合できるように頑張ってください」と激励しました。
履いていたシューズも贈ってしまいソックスの田中選手
- ここで、質問した5人に田中選手からのサプライズが。「自分も幼いときは人前でなかなかものが言えないタイプでした。こんなにたくさん人がいる中で質問できるって勇気があると思うんで、質問してくれた人にプレゼントをしたいと思います」と、持参したシューズを贈ってたたえました。