「FIBA 3x3 WS 2019 Tokyo」長崎ジュニアチーム参戦レポート Day1

「長崎ジュニアチームが国際大会のエキシビションゲームに参戦」
 2020年東京オリンピックからバスケットボール競技の新種目として採用されるのが、「3x3(スリー・エックス・スリー)」だ。これまでの5vs5(以下5人制)よりも少ない、3vs3で競い合う。コートサイズは通常の半分であり、お互いに攻守を切り替えながら1つのゴールに向かって得点を取り合う。10分×4クォーターの40分間で決着をつける5人制に対し、この3x3は10分間1本勝負。狭いコートの中での短時間勝負ながら、5人から3人と少なく、常に攻守を切り替えてプレーがなかなか止まらないので「ボクシングのような無酸素運動」とそのハードさを表現するのは日本女子バスケット界の"レジェンド"大神雄子氏だ。
 大神氏は5人制の女子トップリーグの強豪、トヨタ自動車アンテロープスでアシスタントコーチに就任し、3x3女子日本代表のサポートコーチとしても活躍する。今年のゴールデンウィークにシーハットおおむら(長崎県)で開催した「TREASURE'19 オール九州ジュニアバスケットキャンプ(以下TREASURE'19)」ではメインコーチを務め、そのときも短い時間ではあったが3x3を紹介していただいた。
 この新競技3x3の強化と普及に熱く向き合う大神氏がオーガナイザーとなり、海外でハードに転戦し国際ランキング上位を目指すチームJAPANのプレーを日本のファンに届けたいと、女子の国際大会であるFIBA 3x3 ウーマンズシリーズ東京大会を9月21日(土)~22日(日)にメガウェブ青海(東京都江東区)で開催。休日のレジャーを楽しみに来た多くの人々が、代表選手による世界レベルの激しい戦いに目を奪われて立ち止まり、コートは溢れる人垣と歓声に包まれていた。
 今大会の特別協賛として、TREASURE'19で子供達が触れた世界への夢を繋いでいくプロジェクトを推進する松園尚己記念財団が参加。3x3Jr.選手の育成に取り組む長崎県バスケットボール協会が男女U15長崎選抜チームを結成し、エキシビションゲームに出場する機会を得ている。
「Day 1」

女子:#2湯川凜(長崎中央クラブ)、#3藤山なずな(戸町中学校)、#4森髙楓(鳴石中学校)、#5後田紗希(福石中学校)

 対戦する茨城アルボラーダは、3x3男子日本代表サポートコーチの中祖嘉人氏が率いるチームである。対する男女U15長崎選抜チームは、今回はじめて3x3に挑戦する選手たちばかり。音楽が鳴り、コートサイドの間近に観客がいる環境での試合もはじめてである。最初に登場した女子チームはそれでも臆せず果敢に切り込んでいく闘志溢れるスタイルを貫いて6-12で見事に勝利し、幸先良いスタートを切った。
 次々と得点を挙げ、MCからも賞賛を浴びていた#3藤山なずな選手は、その活躍とは裏腹に「最初は本当に緊張していて、体も動くか心配しました」と言う。「みんな笑顔で声を掛け合って、まわりの声援もあって緊張がほぐれました」と話すとおり、内から外から16点中10得点を奪取するという試合を決定づける活躍で、チームを勝利に導いた。#2湯川凜選手も、積極的にドリブルから相手ゴール近くへのドライブを挑み状況を打開して行く。選抜チームゆえに5回ほどしか練習はできなかったが、「クラブチームにも参加しているので、そこでは男子とも練習をしたり、いっぱい経験を積んでここに来ました」と湯川選手は言い、準備してきたことが功を奏する結果となった。

男子:#2谷俊太郎(南山中学校・TREASURE'19メンバー)、#3太田龍之介(桜馬場中学校)、#4片山海王(小ケ倉中学校・TREASURE'19メンバー)、#5西田真希(片淵中学校・TREASURE'19メンバー)

 続いて男子の初戦が行われ、先に勝利を飾った女子チームから勢いを貰ったかのように立ち上がりから次々と得点を決めていったのは、#5西田真希選手だ。「こういう雰囲気で試合をするのが楽しみでした」と臆することなく持ち味を発揮する彼に触発されたかのように、チームは前へ前へと推し進んでいく。TREASURE'19にも参加した一人であり、「僕らは小さいので、大神さんから学んだ大きく動作することや積極的にリバウンドへ行くこと、フィジカルを生かしてプレーできたことで勝てたと思います」と言うように、21-9とブザービーターでのノックアウト勝利を決めた。3x3の試合時間は10分間であるとともに、先に21点を挙げた時点で勝負が決まるルールでもある。
 TREASURE'19ではスキルチャレンジチャンピオンとなった#4片山海王選手だが、「身長が低い分、高さでは勝負できないので、ハードにプレッシャーをかけて、相手のミスを誘うようにしました」とテクニカル且つアグレッシブなディフェンスでリズムをつかむ。オフェンスが有利となるバスケットボールゆえに、それを抑えるためにもディフェンスが重要であることは3x3でも変わらない。大神氏の教えを遂行したことで快勝することができたと言える。
 初日は初顔合わせであったためお互いに手の内を知らない状態でのゲームであったが、2戦目となるとそうはいかない。読み合い駆け引きが生まれ、より激しさを増していく2日目の様子は後半のレポートでお伝えする。

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