松﨑賢士郎君が国体剣道で日本一、日本選手権は準優勝に輝く

 奨学生の松﨑賢士郎君が(筑波大3年)大きな飛躍の時を迎えています。

 2019年は全日本都道府県対抗剣道優勝大会で2位、全日本学生剣道優勝大会で準優勝、個人では全日本学生選手権大会で準優勝、更に全日本剣道選手権大会では学生として異例の準優勝を飾り、その直前の茨城国体の剣道競技会においては、チームに大きく貢献し日本一に輝くという目覚ましい快挙を成し遂げ、尚も意気軒高2020年に臨みます。

 国体は島原高校在籍時に長崎県少年男子の代表として3連覇の偉業を成し遂げた大会であり、自身4度目となるタイトルへの挑戦でもありました。今回は故郷の長崎代表ではなく、学籍を置く筑波大学のある茨城県代表に選ばれ成年男子の部に出場しています。
「今までやってきたことを信じて」
 成年男子の試合は大会2日目からで、初戦で対戦したのは静岡代表でした。先鋒として登場した松﨑君が面と胴を続けざまに奪い、2分22秒で試合を決めてチームに勢いをもたらします。
「思ったよりもリラックスして試合に臨め、応援の力をうまく生かすことができました。結果を含め自分の内容次第で、後ろの先輩方のモチベーションとか試合の雰囲気も変わってくるので、その辺を意識してただ勝つだけではなく、流れを持ってくるような試合を意識して取り組みました。いつもよりも積極的に技を出して、声も出していくことが次(の試合)にも繋がるので、普段はもう少し様子を見ながら戦うのですが、今回は今までやってきたことを信じて積極的に力を出していきました」
 松﨑君から始まった良い流れのまま、茨城の剣士は5人全員が勝利し、大分代表との2回戦に続きます。この試合でも小手と面を連取して貴重な1勝を挙げました。次鋒と中堅が勝利するも副将と大将とが敗れ、結果を見れば3対2の辛勝で次戦へと駒を進めることになっただけに、松﨑君の白星は大きな価値のあるものとなりました。

 準々決勝に進んだ対戦相手は栃木代表。先鋒戦はなんと同門対決となり、筑波大学の後輩である大平翔士選手を相手に、貫禄ある試合運びで面と小手を連取して勝利します。
「筑波同士の対戦でお互いに手の内も分かっているからこそ、なんとか勝ちたいなという気持ちは強かったです」

 危機に直面したのは準決勝の千葉代表、小川侑吾五段との戦いでした。試合開始早々に胴を取られてしまい、今大会で初めてのリードを許す展開に。しかし、このピンチにも慌てず落ち着いた試合運びで面を取ると、続けざまの面で2本連取して逆転勝利。頂上決戦へ臨みます。
 決勝の相手は前大会優勝の東京代表。松﨑君の対戦相手は警察剣道の名門である、警視庁の横田幸輝選手でした。
「自分が勝つことが、(優勝への)絶対条件だと思っていたので、なにがなんでも勝利をもぎ取るつもりで戦いました」
 1本目を引き面で先取、2本目は小手返し面を連取して先鋒戦を1分31秒で制します。出場した全ての試合で勝利するという結果を残し、相手の出端を挫きチームの足掛かりとなる自らの役割を見事に果たしました。
 続く試合も激戦に次ぐ激戦で、次鋒戦を落とすも中堅戦で勝利するという、シーソーゲームの展開にもつれ込むかと思わせる展開になりましたが、明暗を分けたのは副将戦でした。松﨑君の恩師で筑波大男子剣道部を率いる鍋山隆弘教士八段が、激しい打ち合いとなった試合で面2本を連取して茨城代表に優勝をもたらします。
「応援の力を受けて」
 地元開催で大きな期待を受けた茨城チームの先鋒という大切な役割にも、「長崎国体で1回(地元開催を)経験していたのが大きかったと思いますし、(地元開催の)プレッシャーもありましたが、今までやってきたという自信があったので、それをうまく力に変えることができました」と冷静に振り返ります。

「地元の皆さんの応援の力を受けて戦えました。(チームの中では)私が最も若輩で、先輩方や先生方が気を遣ってコミュニケーションを取ってくださったので、あまり上下関係を気にすることなく、自分の試合に集中できました。この何年かはずっと一緒に強化してきた仲間でもあったので、結束は強かったです」とチームメート一丸となっての勝利を強調。

 筑波大学1年生の冬に、同大学体育学群教授で剣道部長を務める香田郡秀範士八段の薦めで、茨城県強化チームのメンバーに加わり、国体での優勝を目指して修練を積み重ねてきました。
「社会人の方たちと一緒に練習できたのは、私にとって新鮮ですごく勉強になりました。大きなチャンスをたくさんいただき、私にとって大きな1年になっています。試合ごとに成長させていただいていると実感しています」
大きな自信と悔しさ
 そして充実のシーズンを締めくくるのは、11月3日に大阪で行われた第67回 全日本剣道選手権大会でした。
 頂点を目指す64人がエントリーするトーナメントを駆け上がった決勝戦の相手は、本大会2年連続で準優勝中である、こちらも警察剣道名門の福岡県警、国友錬太朗5段。悲願の初優勝へと気迫漲る先輩剣士が相手ながら松﨑君も一歩も引くことなく、むしろ前へ前へと勇猛果敢に挑みかかります。互いに譲ることなく続いた激闘は延長まで繰り広げられた末、見事な小手を受けて惜敗し準優勝という結果を残しました。
  • 最大の好敵手かつ盟友でもある星子選手(筑波大3年)と
 この2週間前、全日本学生剣道優勝大会には筑波大学チームとして出場。準優勝だった昨年の雪辱を誓い部員一丸となって稽古に励んだ今年、再び中央大に敗れ2年連続準優勝という結果に。自分の剣道を貫けなかった無念から今大会へかける決意は並々ならぬものでした。
「この悔しさをぶつけるためにも気持ちを切り替えて、最善の準備をすることに集中しなければ。誰もが経験できることではないので、感謝の気持ちを忘れず自分の力を出し切りたいと思います。」

 こうして挑んだ個人としての剣士最高峰。大会最年少優勝記録の更新は成りませんでしたが、初出場で3回戦まで進んだ昨年に続く大きな躍進を遂げ、一先ず令和元年の挑戦を終えています。
「今年度はあと一歩のところで優勝を逃した大会が多く、決勝での戦い方などまだまだ反省すべき点がたくさん見つかりました。ただ、全日本選手権という大きな舞台で自分の剣道がある程度通用したことは大きな自信になりました。この悔しさをバネにまた来年に向けて一から頑張っていこうと思います。」
 この一年で学生ながら先輩剣士からも目される立場になった松﨑君。4月からは4年生となり、大学剣道の集大成を迎えることになります。
 入学以来、学業も一切疎かにはせず大変優秀な成績を修め、母校での教育実習も控える本当に多忙な日々。加えて、学業とは別に知見を広げ内面を磨くことは競技の域を超え人生に大きな意味を持たせてくれると、多岐にわたる本を読むことを常とし、文字通り文武両道を貫いています。
 それも剣士としての更なる高み、ひいては松﨑賢士郎という一個の人間としての高みを目指すため。その青春を剣に捧げ修練の道を歩み続ける姿が揺らぐことはありません。

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