4年間大変お世話になりました。貴財団の奨学金により、充実した大学生活を謳歌することができました。心より感謝しています。 振り返れば、進学に伴い長崎から上京したことにより、様々な体験をさせてもらいました。 まずは何もかもわからない東京での初めての一人暮らし。知り合いが誰もいない土地で、一人で物件を探した時は不安でいっぱいでした。この短い間だけでも心細いと思う気持ちになったのですから、いざ入学してもすぐに長崎に帰ってしまうのではと感じ、地元を発つ日を誰にも告げず東京へと赴きました。学校が始まるまでの10日間。1人でアパートの周りをあてどなく探索したり、スカイツリーを観に行ったり、新宿のアルタ前に行ってみたりと、あの日々のことは今でも懐かしく思い出します。 不安が払拭できないまま、ほどなく学校も始まって、徐々に顔見知りが増えるきっかけとなったのは、意外なことに僕の発する方言でした。僕が話せば話すほど笑顔になってくれたり、意味を尋ねてくれたりと、長崎では味わったことのない不思議な感覚を抱いたことを覚えています。 そのうちに自然と友達ができ、その縁からダンスサークルに加わることになりました。1、2年の時はまるで体育会の部活動さながら、寝る間すら惜しむようにダンスの練習を重ねるうちに、先生や先輩後輩という垣根を超えた人間関係をも築けました。時には仲間として時にはライバルとして、とても楽しく熱中した時間でしたし、ダンスを全く知らない友人達にも、踊り方をレクチャーするほどにダンスが大好きになりました。 3年生の夏には、1ヶ月間ニューヨークのストーニーブルック大学での語学研修に参加することができました。僕は海外に行くのが初めてで、ましてや同じコースの帯同者は見知らぬ後輩ばかりと、不安と期待がないまぜでの状態でしたが、いざ現地に着いてみると皆の方がより緊張していることが分かり、短い間とは言え異国の地で共に学ぶ仲間の緊張を解したいという気持ちが芽生えていました。 英語だけで進行される授業は新鮮で、様々な国から来た人々と拙いなりにも積極的に会話することで、毎日楽しみながらスキルアップができました。現地の先生はとても明るく、クラスの誰もが互いに思い遣りを持ち、いつも優しく笑顔であったことが印象に残っています。 平日は授業と課題が終わると、束の間バスケやバレーで体を動かし、休日は野球観戦にBBQ、それこそ映画で見たことしかない街を観光したりしました。セントラルパークではストリートダンスの輪が広がっていて、参加していた人々とダンスという言葉を使わないコミュニケーションを通じて気持ちを共有するというのは実に心地よく、また得難い体験でもありました。 4年生からの就職活動は、僕にとって自分を見つめ直し、自分の意見を相手に伝えるという体験を得る良い機会となりました。結果、自分が一番意識していることを、一番大切なこととして掲げている企業に出会うことができました。僕が意識していることは「技術者たる前に、まず人間たれ」という言葉です。これは、どんなに素晴らしい技術を持っていても、第一に優先されるのは人間力がないといけないという意味です。人間力とは客観視し辛いものですが、多様な経験をしてこそ魅力を持ち磨かれていくものだと考えています。 大学進学と共に東京で学び、就職に伴いまた新しい環境に身を置くこととなりますが、これからも知らないことを怖れずに、当たり前のことを当たり前と思わず常に感謝をして行動することで人間力を高めていきたいです。 大学生活を終えて、改めて僕は人に恵まれていたのだなと実感しています。遊んでくれる、話を聞いてくれる、相談をしてくれる、一緒に勉強してくれる、将来の夢や家族のことを腹を割って話せる友達との素晴らしい出会いがありました。一番嬉しかったのは、友達が僕のことを家族に紹介してくれたことです。北海道・埼玉・広島・鹿児島と、それぞれの実家に遊びに行かせてもらって、その家族の皆さんと食卓を囲んでとても親しく色々な話ができたひと時はかけがえのない思い出となっています。 そもそも、このような経験や宝物ができたのは、ひとえに大学に行くことを後押ししてくれた母のおかげなのです。経済的に厳しい環境であったにも関わらず、どんな事でも自分を信頼し、決断を委ねてくれる母によって、自分の中で考える力が育まれたのだと、この母を見て育ったからこそ今の自分があるのだと実感しています。いくら感謝しても足りないくらいだと、この気持ちを素直に伝えたいと思っています。 やりたいことの取捨選択を自分で決定しなければならない大学という環境に身を置くことで、僕は徐々に「成長していく」ことの意味がわかりました。これからの社会人生活、関わった多くの人達から受けた恩を絶対に忘れることなく、今まで学んできた事を生かし、新たに学ぶことにも柔軟に理解することで、これからも一層幸せな日々を過ごせるように生きていきたいです。
羽田空港で仲間たちと。後列右から2人目が私です。 尾崎さんは日本大学で経営や会計などについて学び、サークル活動やアルバイトにも手を抜くことなく、常に楽しみを見つけながら力を注ぎ続け、そこで生涯を通じて付き合える仲間を得られたそうです。いつも主題に「自分を含めた人々の幸せ」を据え、自分が立っているステージ上では臆することなく、今できることを懸命に考え、夢中になれることを素直に楽しみ、卒業するその時まで、大学生活で巡り合った全てを無駄にすることなく過ごされました。就活生となっても卒業単位を満たすだけではなく、精力的にスキルアップに繋がる講義を履修され見事に両立しています。 卒業後は(株)コプロ・エンジニアードで、建設エンジニアの人材創生や技術支援の仕事に携わられています。尾崎さんがこれまで怯むことなく多くの人から学び得てきた糧は着実に蓄えられ、正に人間力が問われるであろう企業において、その活躍の源泉となるでしょう。
Other Report 「Story」vol.17 花尾恭輔駒澤大学 経済学部商学科 3年 陸上競技部2020年度奨学生「My graduation 2020 #2」奨学生(2020年3月卒業)からのメッセージ「My graduation 2020 #1」奨学生(2020年3月卒業)からのメッセージ